スタッフブログ【さびうらびより】STAFF BLOG
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第303回 怒濤のモンガラドオシチャレンジ
毎日暑くて溶けてます。さく太郎です。
和歌山県に来てから初めての夏。都会に比べるとだいぶ過ごしやすいですね。
何より風が通るのは大きな違いかもしれません。
だがしかし...暑いもんは暑い!車を持っておらず、自転車で毎日通勤しているのですが、
会社に着く頃&家に着く頃には汗だくです。こいでいる時よりも、止まった時にブワッと...。夏が来たな、と。
さて、今日は少しだけまじめにお話ししたいと思います。いつもふざけてしまうので。
当館には、モンガラドオシと言って、ウナギの仲間が飼育されています。にょろにょろしていて、白地で茶色のブチがある、
愛嬌ある顔立ちです。
ある日、いつものように水槽を見回っていると...
ひええええええ~~~!!すっごいパンパン!破裂しそうになってる...餌あげすぎたのか?!
ちなみに平常時はこちら
分かりづらいかもしれませんが、もう少しシュッとしているんです。(こんな体制の時もあります。ちょっとどきっとする...)
プチパニックになりながら前任者に聞いてみたところ、なんと卵を持っているとのこと!
これは育ててみるしかない!上手く出来るかな~♪と思ったのが始まりでした。ここからが怒濤の期間になったわけです。
この日の夕方5時頃、産卵は起こりました。一瞬の間で私が見つけた頃には既に産卵し終えていました。
卵は浮遊性、つまり水に浮きます。
水面に浮いている白いつぶつぶが卵です。一度に大体2000個~3000個くらい産みます。
黄色い粒は、油球という油の粒で、これにより浮くことが出来ます。
横から見ると、しっかり動物極と植物極が分かれているのが分かりますね。
産卵数が多いというのは、生存率を上げるため。そうつまり、この中で生き残るのはほんの僅かなわけです。
つまり、それだけ飼育が難しかったりします。
さらに言うと、モンガラドオシやウナギの仲間はレプトケファルスといって、透明でにょろにょろした仔魚で生まれてきます。
大体3cmくらいで、この状態でもまだ水面に浮いています。この時期は「プレレプトケファルス」と呼ばれ、成長して
リボン状になると「レプトケファルス」になります。
こーんれがまた、飼育が難しい!!過去にも何度かモンガラドオシは産卵しているようで、仔魚の飼育に挑戦しているものの、
中々上手くいかず...。
同じレプトケファルスになるウナギなんかは、最近完全養殖が成功したくらいです。まだまだ研究段階ですので、簡単に飼育できるとは思っていませんでしたが、とても大変でした。
餌は限られたものしか食べない(であろう)
水質はかなり良くしていないと死んでしまう(であろう)
親と同じような形になるまで2年くらいかかる(んじゃないか)
...といった感じに、モンガラドオシの仔魚のことはほぼ分かっていません。ウナギの養殖法を参考に試し試しで行いました。
今回なんとか仔魚は餌を食べてくれました。
この光景にはかなり癒やされました。なんと言っても、餌は一日最低4回、2時間ごとに水を入れ替える作業があり、
なんだかんだで一日中モンガラドオシのお世話をしていました。これも小さな命のため..。
結局19日間の飼育日数ですべての仔魚が死んでしまいましたが、頻繁に卵を産むようなので又の機会の参考になれば!
と思っていた矢先、2ヶ月後にまた産卵がありました!
今度はほんのちょっとだけ、産卵シーンを見ることが出来ました。
たまたまバックヤードで作業をしていて、バシャバシャと音が聞こえたと思ったらこんな事になっており
あわてて携帯を取り出しました。
よく見ると、メスのお腹が産卵後、ぶよぶよになっています。人間と同じですね。
頑張ったお母ちゃんはすぐさま砂の中へ戻っていき、しばらく出てきませんでした。
5日後くらいからは、ガツガツエサを食べ始めました。タフなお母ちゃんだ。
この卵達も孵化し、プレレプトセファルスになったのですが、今回も上手くいかず...難しいものです。
いつか展示水槽で、小さなモンガラドオシを飼育することが出来たらいいなあ、と思っているので、
また産卵するようならば、飼育に挑戦していきます。
改善に改善を重ねて、少しずつ...。気が遠くなりますが、卵を産んでくれたモンガラ夫婦のためにも頑張ります。
by さく太郎