スタッフブログ【さびうらびより】スタッフ:クチヒゲノムラガニ一覧
串本の様子や様々な串本の生き物たちを、
スタッフが交代でご紹介します。
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第239回 白化シミュレーション
串本の海中景観を再現した「串本の海水槽」には、魚類のみならず串本の海を代表するおよそ30種のサンゴが展示されているが、そのサンゴたちが今夏も深刻な白化現象に見舞われた。どのサンゴも色彩の基になる共生藻類(褐虫藻:かっちゅうそう)が抜けて脱色し、水槽内は白銀の世界と化した。原因は30℃を越える異常高水温状態が続いたことにあるが、要因としては野外の記録的な高水温と設備の問題とが挙げられる。前者の要因は過去最大規模のエルニーニョに端を発した世界的な高水温現象に関連したもので、昨年は世界中で深刻なサンゴ被害をもたらしたが、今年もまだその余波が残っていた。幸いにも、串本の野外に関しては、今年もサンゴ被害は微々たるものであった。
白銀の世界と化した串本の海水槽
次に後者の要因は、当水族館には一部の小型水槽を除いて水温を下げる設備がないことである。しかも、沖合から埋設パイプを通して取水していた設備が故障したため、近年は港内から陸上を這わせたホースを通して取水するようになり、夏場は外気の影響を受けて水槽水温が自然水温に比べて1℃以上も上がってしまっていた。
さて、夏場のピークから2ヶ月が経過し、水温も25℃を切るようになった。純白状態となった水槽内のサンゴの一部は高水温を耐えしのぎゆっくりとした回復を示してきてはいるが、海中景観の主成因となるサンゴ(ミドリイシ類)は全て死滅してしまった。ミドリイシ類の大打撃は2年続けてであり、残念ながら、設備の改善なくしてはもはや当水槽でのミドリイシ類の飼育、そして串本の海中景観の再現は困難となった。
白化に耐えたショウガサンゴ
高水温に強いスリバチサンゴ類
死滅したスギノキミドリイシ(その下部は昨年死んだエンタクミドリイシ)
そもそも、当水族館が水温冷却設備を持たなかったのは、建設当時の約50年前は水温が近年のように上がることはなく、そのような設備は不要であったからである。ところが、今や当時想像もつかなかった水温上昇(年平均水温で1℃)が起きている。もし、地球温暖化によってこのまま水温の上昇が続けば、現在の「串本の海水槽」の姿が、将来の「串本の海」の姿となるかもしれない。このシミュレーションが現実にならないことを祈るばかりだ。
by クチヒゲノムラガニ
第235回 50年以上先の話
○見つかる
7月15日に海中公園に隣接する高浜海岸を泳がれた方から「当地にはいないはずのセジロクマノミを見つけた」との通報を受け、関係者が確認に行ったところ、ペアのセジロクマノミ①だけでなく、驚くべきことにカクレクマノミ②が約25個体、ならびにその宿主となるセンジュイソギンチャク4個体が見つかりました。これらの種は皆、奄美諸島以南に分布する熱帯種で、串本においては1度も目撃されたことも記録もありません。また、これらは当地に分布しない上に、大量に見つかったこと、水槽装飾用のオブジェ③も同じ場所で回収されたことから、海水魚の愛好家が放流したものと判断されました。
○人為放流がなぜいけないのか
分布しない生物を放流することは、自然を大きく変えてしまうことになります。すなわち、その種の自然分布をねじまげるだけでなく、種の遺伝子や生態系の攪乱を招く恐れがあります。このことは、多くの外来生物侵入に伴う弊害を見ても明らかでしょう。また、自然ばかりでなく、熱帯種の移入を指標として地球温暖化の生物学的な検証を地道に行っている研究者をも大いに攪乱させてしまいます。
○今回の対応
今回、見つかった熱帯種は波打ち際という浅い場所に定着していたため、台風襲来時の波浪に巻かれて死んでしまう可能性があります。また、低水温耐性が低いため、当地で越冬できない可能性があります。そのため、現場に放置してもまず生き残れないと思われます。ただし、放流数が多いため、分散して当地のどこかで生き残る可能性も完全には否定できません。また、人のかってな行為によって目の前に放流されてしまった生物たちの悲劇を見過ごすこともできません。そこで、明らかに人為放流であること、当地には分布しない種であること、種の自然分布や生態系を保全すること、放流個体を救うことを総合的に鑑みて直ちに回収することにしました。ただし、当館には「当地に分布記録がない種は展示しない」という根本的な理念があるため、回収した生物を展示することができません。そこで、すさみ町のエビとカニの水族館の平井館長代理のご厚意で同水族館で預かっていただくことになりました。そして、さっそく同水族館において人為放流された今回の生物の啓発展示④を特別に行っていただいています。
○50年以上先の話
地球温暖化が確実に進行していくとすれば、水温は上昇を続けて串本の海は徐々に熱帯化し、それまで当地に分布していなかった種の定着がどんどん進むことでしょう。そして、今回、騒動となったカクレクマノミやセンジュイソギンチャクの串本への定着もいつの日にか起こるはずです。しかし、それは今ではありません。串本の海洋環境が現在の奄美と同じになる50年以上先の話です。熱帯種の北上を阻むトカラ海峡上にある境界(渡瀬線と呼ばれる)は強力であり、また、ここを越えて串本までたどり着くためには黒潮上流域にある種子島・屋久島、鹿児島、高知等を中継する必要があります。生物は分散し分布域を広げる特性を持っていますが、途方もない年月をかけて無効分散を繰り返しながら定着できるわずかなチャンスを常に窺っているのです。この厳かな生物の営みを尊重するならば、今回のような軽はずみな行為は決してなされないはずです。
by クチヒゲノムラガニ
第231回 「画家まつお」さんの駅舎アート
第227回 熱帯化?
熱帯の海の中で種・量共に最も多く見られるサンゴがミドリイシの仲間だ。この名前は緑色をしたサンゴ(サンゴは堅い骨格を持つので・・・イシと呼ばれる場合が多い)を意味するが、本類はこの色の他にも褐色、青色、黄色、ピンク等と様々な色彩を持ち、緑色は本類を代表する色彩とは言い難い。おそらく、最初にこの名前を付けた人は緑色をした種が印象に残ったからであろう。
黒潮の影響を強く受けた串本は温暖な海中環境が形成され、熱帯の海と同様にミドリイシ類が豊富に見られる。しかしながら、熱帯域に比べて色彩のバリエーションには乏しく、また、ほとんどの種の色彩はいささか地味な褐色をしている。近年、串本の海で急速な増加をみせるスギノキミドリイシの色彩もほとんど全てが褐色をなす(写真①)。
ところが、先日、ボート乗り場を泳いでいたら、緑色をしたスギノキミドリイシを串本で初めて発見した(写真②)。素晴らしい。これぞミドリイシ!!
サンゴは真っ白な骨格の表面を透明で薄い表皮が被う。
表皮中には褐虫藻(かっちゅうそう)と呼ばれる褐色をしたごく小さな藻類がものすごい数で共生しているため、褐虫藻が色素となりサンゴは基本的に褐色に見える。褐色以外の色彩のサンゴがあるのは、独自に色素を持っているからである。そして、串本では色素を持つミドリイシ類が残念ながら少ない。
さて、緑色をしたスギノキミドリイシはどうやら新たに色素を獲得したらしい。サンゴに近づいてよく見ると、緑色と褐色とが混ざり合い、緑色の部分が広がっているのが分かる(写真③)。
また、このサンゴの周りにも部分的に緑化したものがポツポツと増えており(写真④)、緑化は進行しそうな気配である。
色とりどりのミドリイシ類が多いのが熱帯域の特徴とするならば、これも温暖化による熱帯化の現れか?
by クチヒゲノムラガニ
第221回 異変
地先の海岸には台風で打ち上げられたサンゴ骨格が厚く堆積した、本州唯一の地形が見られる。そこを散策するためにコーラルロードと名付けた小道が設けられている。道と言ってもサンゴ骨格を道標として並べただけのいたって簡素なものだ。
(愛犬とコーラルロード)
ほぼ毎朝、愛犬の散歩を兼ねて歩道整備をするのを日課としているが、今年の夏頃から異変は始まった。道標のサンゴが所々で散らばり、また、歩道脇に掘ったような痕が残っていたのである。最初は、人の仕業かなと思っていた。ところが、規模が広がりを見せるに連れ、その正体の察しがついた。「イノシシ」である。しかも、集団。
(被害前の歩道)
(被害後の歩道)
(歩道脇に空いた穴・穴・穴・・・(矢印の部分))
歩道脇の穴は海岸植物のハマアザミを掘った跡である。この根はハマゴボウとも呼ばれ、人が食べてもおいしい。イノシシは味をしめたのだ。また、サンゴを散らばしたのは、どうやら、その下に潜むカニを探したためであろう。
(ハマアザミ)
(根だけ食べられたハマアザミ)
今や海岸は穴だらけ、ハマアザミは絶滅の危機、また、毎日の歩道の修正に体力を消耗し、持久戦となった。歩道の管理をあきらめるのが早いか、餌を食べ尽くしたイノシシが海岸を見限るのが早いか。
(錆浦海岸最大のハマアザミの群落)
(食害され群落が消失)
イノシシの索餌は夜間であるが、最近は大胆にも水族館の下まで行動範囲を広げてきている。歩道整備も難儀ではあるが、そのうち早朝の海岸でイノシシに出くわさないか心配になっている。
by クチヒゲノムラガニ
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