スタッフブログ【さびうらびより】STAFF BLOG
串本の様子や様々な串本の生き物たちを、
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第227回 熱帯化?
熱帯の海の中で種・量共に最も多く見られるサンゴがミドリイシの仲間だ。この名前は緑色をしたサンゴ(サンゴは堅い骨格を持つので・・・イシと呼ばれる場合が多い)を意味するが、本類はこの色の他にも褐色、青色、黄色、ピンク等と様々な色彩を持ち、緑色は本類を代表する色彩とは言い難い。おそらく、最初にこの名前を付けた人は緑色をした種が印象に残ったからであろう。
黒潮の影響を強く受けた串本は温暖な海中環境が形成され、熱帯の海と同様にミドリイシ類が豊富に見られる。しかしながら、熱帯域に比べて色彩のバリエーションには乏しく、また、ほとんどの種の色彩はいささか地味な褐色をしている。近年、串本の海で急速な増加をみせるスギノキミドリイシの色彩もほとんど全てが褐色をなす(写真①)。
ところが、先日、ボート乗り場を泳いでいたら、緑色をしたスギノキミドリイシを串本で初めて発見した(写真②)。素晴らしい。これぞミドリイシ!!
サンゴは真っ白な骨格の表面を透明で薄い表皮が被う。
表皮中には褐虫藻(かっちゅうそう)と呼ばれる褐色をしたごく小さな藻類がものすごい数で共生しているため、褐虫藻が色素となりサンゴは基本的に褐色に見える。褐色以外の色彩のサンゴがあるのは、独自に色素を持っているからである。そして、串本では色素を持つミドリイシ類が残念ながら少ない。
さて、緑色をしたスギノキミドリイシはどうやら新たに色素を獲得したらしい。サンゴに近づいてよく見ると、緑色と褐色とが混ざり合い、緑色の部分が広がっているのが分かる(写真③)。
また、このサンゴの周りにも部分的に緑化したものがポツポツと増えており(写真④)、緑化は進行しそうな気配である。
色とりどりのミドリイシ類が多いのが熱帯域の特徴とするならば、これも温暖化による熱帯化の現れか?
by クチヒゲノムラガニ