海と水族館を丸ごと楽しめる複合施設串本海中公園

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第399回 終わらない夏

今年の夏は、暑くて長かったですね。
って、毎年言っているような気がする、くろすけ♀です。

それもそのはず、ここ3年くらい串本の9月の平均気温は、
過去最高を更新しているんです。
私は暑いのが苦手なので、
じっと息を潜めて
早く夏が去ってくれるの祈るばかりです。

そして、ようやく涼しくなってきた今日この頃。
それと関係しているかどうかは分かりませんが
珍しい生きものラッシュで
水族館はわいています(主に飼育員が)

まずは、タコブネ。
diary399_1.jpg
串本で、住民の方が採集して、持ってきてくれました。
貝殻を持つタコの仲間。
ただし、貝殻を持つのはメスだけです。
殻で卵を守るため。
タコブネは、全世界の熱帯、温帯の海に分布し
表層域に生息しています。
殻の大きさが大きくても10㎝に満たないので、
見つけるのは難しく
漂着物コレクター界隈では
超レアものとして扱われています。
私はタコブネを見ると、
タコってやっぱり貝の仲間だったんだなあ
って思います。
あと、こんな繊細な体でどうやって厳しい海で
暮らしているのかとも思います。

そして次は、イタチザメ。
diary399_2.jpg
写真がうまく撮れなくてすみません(T_T)
diary399_3.jpg
 

1m位のかわいいサイズです。
久しぶりにうちの水槽で泳ぐ姿を見ました。
サバみたい。
地元の漁師さんの延縄にかかりました。
人食いザメとして有名ですが、
この大きさなら全然怖くありません。
むしろ、かわいい…
ム〇ゴロウさんのように
抱きしめても大丈夫かも…
(個人の感想です)
状態もよく、入ってその日から
エサを食べ始めました。
長期飼育がなかなか難しいサメですが
昔訪れたマウイの水族館では
巨大なイタチザメが飼育されていて
迫力があったので、あの光景が
当館でも見られたらなあ、と
密かに思っています。

ということで、気温は低くなってきましたが
串本海中公園はまだまだ、アツいですので
ぜひ、皆さん、見に来てください!

by くろすけ♀

第398回 人工産卵場への侵入者

今年のウミガメ繁殖はそろそろ終わったようです。

今年はアカウミガメが約360匹誕生しましたが、

大変申し訳ないことに脱出のライブ配信はほとんどできませんでした。

予測が外れてしまったことと運の悪さが原因です。

申し訳ない。

 

ウミガメの繁殖期である6月~9月ごろまでの人工産卵場には監視カメラが設置されています。

このカメラを使って産卵や脱出をチェックしたりライブ配信を行っています。

ウミガメを観察するためのものですが、たまに別の生き物が映ることがあります。

そんなウミガメとコラボする奇妙な侵入者をご覧ください。

↓(倍速です)

猫ちゃん!

猫の用事はおトイレです。

なんとまあ贅沢な猫トイレでしょうか。

ウンチをする場所なんていくらでもあるだろうに、やっぱり砂場でするのが好きなんですね。

朝方産卵場をチェックするとたまに埋めた後が見つかるので、こっちで後処理しています。

手前に上陸しているアカウミガメがいますがお互いまったく気にしていません。

ウミガメや卵にいたずらはしてないので、まあいいかという気持ちで見守っています。

 

by とーる

第397回 台風の後には・・・

皆さんこんにちは!!

 

夏休みが終わろうかというこのタイミングでアイツがやって来ましたね・・・

そうです・・・台風さんです・・・

今回の台風はなかなかやっかいなようで、予報を見る度に進路や到達時間が変化しています・・・

当館では台風がやってくるとその規模に合わせて様々な対策をします。

しかし、今回は予報が安定していないのでバタバタとしております・・・

 

と、そんな中でも密かに期待していることも・・・!

実は台風などで海が大きく荒れた後は普段あまり目にしないような生き物に遭遇できる事があります。

今回の台風後にそんな生き物たちに出会えるかな?と少し楽しみにしています!!

とは言え無事に過ぎ去ってくれてからのお話ですが・・・

 

皆さんも身の安全を第一に、しっかり備えて下さいね!

 

 

さて、今回は少し海が荒れたときなど運ばれてくる海藻(流れ藻)に集まる生き物を紹介!!

P8241869.JPG

この魚はシイラの幼魚です!!

独特な色をしておりチョーカッコイイです!!

現在はバックヤードで飼育中で、毎日沢山のご飯を食べすくすくと成長しております!

いつの日にか大きく成長した姿を皆さんにもお見せできるよう頑張ります!!

 

そしてもう一種類!

P8262014.JPG

流れ藻と言えばこの魚!!!

ハナオコゼです!!

流れ藻にはいろいろな幼魚が集まるのですが、それらを流れ藻の中に隠れて待ち伏せし、捕食します!

現在は館内で展示中です!!展示中の2個体はおそらくペアになっており、近々産卵するかも?!

 

 

台風が過ぎた後、またシイラやハナオコゼに出会えるかなぁー

まだ見たことのない生き物に出会えるかなぁー

なんて考えながら無事に過ぎ去ってくれることを願っています。

あぁ少しずつ風が強くなり、海も荒れてきたな・・・

 

台風すぎてからでも是非ハナオコゼを見に来て下さい!!個人的に激推ししてます!!!

 

byまつ

第396回 何でも食べ物に例える飼育員

夏本番となりました。

関東出身の私は夏というと、並木道に無数にとまっている蝉が大合唱をし、

そのうるささから、さらに暑さを感じるのが夏の恒例でした。よく通っていた、市民プールに行く最中にある桜並木には、アブラゼミが沢山とまっており、近くを通ると「ジジジ!!」と飛んでいくんですよね。蝉トラップ嫌でした。

 

田舎にくると山には沢山の蝉が鳴いていますが、町中ではあまり木がないので、日常の中で蝉の鳴き声をそこまで感じません。何となく夏休み感が薄れてどこか寂しいような・・・

 

さて、時間は少し遡り・・・

 

当館の広報にも提示されていますが、

7月3日に水族館前のサンゴが産卵していました。

この日産卵したのは、枝状のサンゴ「スギノキミドリイシ」です。

sango1.jpg

 

オレンジ色のつぶつぶがサンゴの卵、「バンドル」です。

産む直前になると卵が露出します。

サンゴは有性生殖と無性生殖によって増えることができ、有性生殖はバンドルの中の卵と精子により受精する方法で、無性生殖は折れたサンゴの破片がそのまま大きな一株となる増え方です。

 

夜の21時頃に産卵を確認しました。以下産卵の様子です。

 

 

水中にまっているつぶつぶがバンドルです。

バンドルには油膜が貼ってあるので、生み出された瞬間ゆっくりと水面へ上がっていきます。

 

そして7月29日には・・・

 

テーブル状のサンゴ「クシハダミドリイシ」が産卵しました。

カメラの前をぴょんぴょん飛び交う細長い物体は、水中ライトによって集まったゴカイの仲間です。

顔にぴちぴちと飛んできますが、いい写真を撮るために我慢・・・

この日は他にも、

sango4.jpg

「ニホンミドリイシ」

 

sango6.jpg

「ミダレカメノコキクメイシ」

 

sango7.jpg

「キクメイシ科の仲間」

 

写真にはありませんが、「エンタクミドリイシ」も産卵していました。

大規模な一斉産卵です。

 

クシハダミドリイシやニホンミドリイシは22時頃から産卵が始まりましたが、キクメイシ科サンゴは21時の時点で既に産卵が始まっていました。

 

キクメイシの仲間は、潜らずとも水面に浮いているバンドルの大きさで直ぐに分かります。

スギノキミドリイシやクシハダミドリイシは直径0.5~1mm程度の小さな粒ですが、キクメイシは直径5mm程の大粒です。

それぞれの色合いから、私は前者のバンドルを「焼たらこ」、後者のバンドルを「梅ミンツ」

と例えています。

キクメイシのバンドルは種類によって色が異なる印象でしたが、粒の大きさとしてはやはり、梅ミンツですね・・・

粒が大きいと、出てくる瞬間がはっきりと分かります。

 

 

 

岩にしがみつきながら必死に撮影しました。

大体産卵が行われるのが大潮の前後なので潮の動きが大きく、若干海の中もうねります。

とはいえ、7/29は大潮から少々ズレたので、純粋にうねりがありました。

いい絵が撮れて満足です。

 

産卵した次の日の朝は、波や潮の向きによってはサンゴのバンドルの匂いで辺りが包まれます。

生臭いような、のり塩チップスのような・・・独特の匂いです。

 

サンゴの産卵は、サンゴ達にとって一年で最も活動する時期と言っても過言ではないと思います。

毎年の水温や海域状況、雨の有無などによっていつ産卵するかは異なります。

タイミング良く産卵を見ることができたらかなりラッキーだと思っています。

今年は特に、大規模産卵に立ち会うことができて良かったです。また来年、記録のためにも潜ろうと思います。

 

byさく太郎

第395回 ウツボの赤ちゃん展示中

現在、長い生き物水槽で「ウツボ亜科の一種の仔魚」を展示しています!!

IMG_0229.jpg

ウツボの仲間を含むウナギ目魚類の仔魚は、体は透明で柳の葉のような形態をしており、海中を浮遊しながら生活しています。

専門的にはこの段階の仔魚を、葉形仔魚やレプトケパルス幼生などと呼ばれています(魚類屋の間では、「レプト」と略称されています)。

ちなみにレプトケパルスとは、ラテン語で「小さな頭」という意味であり、その名のとおり体に対して頭が著しく小さいのが特徴です。

またウナギ目の仔魚は体が極めて大きくなるのも特徴で、中には全長40cm以上にもなる種がいます。

 

近年では、水産有用種であるニホンウナギがフィリピンのマリアナ沖で産卵し、レプトケパルス幼生が黒潮に乗って、

日本まで浮遊してくる事が明らかになりました。

しかし、ウナギと同じくレプトケパルス幼生を経るウツボやウミヘビの仲間の初期生活史については、まだまだ謎だらけです。

 

展示中のレプトケパルス幼生は形態からウツボ亜科であることは分かりましたが、詳細な種は不明です。

飼育を開始して9日目ですが、体に少しずつ変化が見られます。

採集直後と比較すると顔つきや体の体高に変化が見られるのがわかります。レプト.jpg

果たして何ウツボになるのか…成長が楽しみです!!

 

by Big West

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