
スタッフブログ【さびうらびより】スタッフ:ひらりん一覧
串本の様子や様々な串本の生き物たちを、
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第347回 さんごガチャ中間報告
さかのぼること20回前の当ブログ
「さんごガチャ」的な感じでサンゴのスリックを育てていますという報告をしたのは私です。
そんな記事がこの世に存在したこと自体、記憶しているのは全人類の中で私1人だと思います
が、
つづけていましたとも。。人知れず
せわしていましたとも。。一生懸命
な~んてね。。ウへへ。
で、
ブログの順番がまわってきたもののとくにネタもないので
せっかくだから中間報告します。
まずは全体像から。
2021年8月。育て始めてしばらく経ったものがこちら。このころはまだプラヌラ(幼生)のものも居たような気がします。
で、現在の様子がこちら。シャーレは汚れていますが、サンゴの存在が視認できます。
では肝心のサンゴ達はといいますと
2021年8月時点では着底間もない稚サンゴが小さな骨格を形成していましたが、
今はサンゴらしくなり色もついてきました。ちゃいろくて褐虫藻がいっぱい。ウフフ。
ほかにも
タバネサンゴ?的な子がいたり
キクメイシ?Micromussa?なんだこれは?的な子達がいたり
もはやなんじゃこりゃ?的なラブリーな子がいたり。ニヤリ。
個性豊かな面々が着々と育ってきております。
因みにサイズ的にはこんな感じ。
群体(もしくはまだ個体の)サイズは概ね5mm~25mmといったところでしょうか。
ミドリイシの仲間だともう少し成長も早いようですが、
今回はすべてそれ以外。
ほぼ丸1年育てても小さいものは未だ5 mm程度ということで
種名が分かるまで、まだまだ先は長そうですね。。
これからも細々と世話を続けていこうと思います。
終わりに。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか
今日も呑気にびょ~~んと伸びていたり、
肉部がモコモコだったりする、そこの我が子達よ!
父さん、今日はおまえたちに伝えたいことがあります。
これからも
たくさん食べて、燦々と光を浴び、いつか、でっかい大人になるんだぞ。
以上。
by ひらりん
第342回 目目連
目目連(もくもくれん)
鳥山石燕の画集「古今百鬼拾遺」にある日本の妖怪。家の障子に無数の目が浮かび上がるというもの。
出典:フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」より。
風も徐々に温みはじめた春の夜中
やや湿気味を帯びた風が
まるですすり泣くかのように時折肌をなでる
そんなある日の夜
誰もいない水族館で一人の飼育員が目撃した
なんとも奇怪なものがたり.....
・・・・
当館には毒棘を持つ魚としてゴンズイを展示するやや大きめの水槽があるのですが、
直射日光が当たらない水槽のため、その壁は付着物が少なくゴツゴツとした岩肌のような景観となっています。
この水槽では20cmほどもあるゴンズイ達が大きなゴンズイ玉を作って泳ぎ回る様子をご覧頂けるほか、隠れキャラとしてカノコイセエビや小さなオイランヤドカリなんかも入っています。
このゴンズイ達、ずいぶんと小さな頃から飼育していますが、
最近、朝一番は水槽底の右端でぐで~んとしており、なんだか「まだ寝たい。。」といっているようなやる気無い感じが観察できます。
しかし・・・
私は見てしまった。
そんな平和な水槽の中にいたのは彼らだけでは無かったのです。
ある宿直の夜22時をまわった頃。
不意にゴンズイの水槽を照らした私は思わず足を止めました。
そこにはなんと水槽の壁を動き回る無数の光る目が私を見つめていたのでした・・・。。
おわり。
というわけで、この水槽、じつはたくさんの小さなゾウリエビも入っていたわけです!
その数15匹!
最初は残った餌なんかを食べてもらおうと入れてみたのですが、
昼間、壁に擬態する姿があまりに巧妙で面白かったため、こっそり展示個体を増やしていったのでした!
その結果、
昼間はまるで何もいないように見えるのですが、夜になると無数のゾウリエビが壁を動き回っている水槽になってしまったわけです。じつは最初の画像にもゾウリエビが写っていたりします。
残念ながら夜の水槽はご覧頂けませんが、宿直の夜など水槽を照らすと、ライトの光を反射したゾウリエビの目がたくさん光っていて、まるで障子に写る目目連のようです。
あまりに巧妙な擬態ゆえ、開館中にこの水槽のゾウリエビに気づいた方は少ないかと思いますが、機会がありましたら15匹すべての擬態を見破ってみてはいかがでしょうか!(※飼育員の気まぐれでもう少し数が増える場合もございます)
(例題)下の写真、みなさんはどこにゾウリエビがいるか分かりますか???(見破りレベル:初級)
以下:答え
おまけ。
因みに、朝はやる気の無いゴンズイ達ですが、餌の時間はやる気全開です。
ゴンズイ達の「ヒャッハーー!」という声(想像)を脳内再生しながら以下の動画もご覧下さい。
メデタシメデタシ。
by ひらりん
第337回 石の上にも四年
遅くなりましたが、
皆様、新年明けましておめでとうございます。
今年も変わらぬご愛顧の程何卒よろしくお願いいたします。
さて、新年初潜りということで先日、ダイビングパーク前にある串本海域公園2号地区にサンゴの調査に行ってきました。
ご覧の通り、このポイントは串本でも有数のすごく美しい水中景観で、
一面に広がるクシハダミドリイシ群落(写真:卓状サンゴ)とそこに群れる小型魚類に圧倒されるような、見ていて全く飽きない魅力があります。
それからこの地点は串本のサンゴの強さといいいますか、その生命力を目に見えて感じられる地点でもあります。
というのも、ここは2017年末から2018年初頭にかけて黒潮の大蛇行と記録的な寒波に伴う異常な低水温現象により、サンゴの大量斃死(凍死や弱ったサンゴ群落での感染症の蔓延による)が起こった場所なのです。
こちらが2018年1月の同じ地点の様子です。白く白化している部分はすべて低水温によって凍死したサンゴ群落になります。
こちらは別の角度から、白くなった斃死箇所と生きている箇所の境目が分かります。
それからこちらが2018年3月の同じ地点の画像です。
真ん中の濃い緑色の部分は既に死んだサンゴが藻で覆われており、その周りの部分もかろうじて生きてはいますが、低水温が続いたことによって色が薄くなり白く白化しています。その後、この白化した群体も大部分が斃死してしまいました。
こちらも2018年3月の画像。この群落はほとんどすべて斃死して藻に覆われています。
最終的に2018年初頭の低水温によって、ここ海域公園2号地区のイシサンゴ類は2m以浅の群落を中心に50%ほどが斃死してしまったのでした。
それから4年。
この地点のサンゴ群落がどうなったかというと・・・
・・・
・・・
・・・!
幸い、その後は冬季の顕著な低水温現象は起こらず、
2020年には夏場の高水温による大規模な白化現象が発生したものの、大きな斃死被害には至らずといったわけで、たった4年でこんなにもめざましい回復が確認されました!
環境が整えばサンゴは強い生き物だと言いますが、まさにその言葉を体現してくれているようですね。
串本では江戸時代ごろからサンゴの骨格を高温で蒸し焼きにして、漆喰の原料となる消石灰(熊野灰)を作る産業があったと言われており(現在その文化は無くなっていますが)、少なくとも1931年にはクシハダミドリイシを優占種としたサンゴ群落の存在が報告されています。
また、当館前に広がる海岸は串本の方言でサンゴを意味する「錆」という言葉からサンゴの多産する海域として「錆浦」の地名が付けられていることからも、串本にはかなり昔からサンゴが分布しており、当地の文化と密接に関係してきたことがうかがえます。
少なくとも約百年以上にわたる串本のサンゴの歴史の中で、おそらくこの海域公園2号地区のサンゴ群落はこれまで何度も危機的な状況を乗り越え、今ある美しい姿を形作ってきたのだと思います。
コロナ禍に伴う大変な状況が続く中ではありますが、我々もこのサンゴ群落のように今はじっと耐え、その後のめざましい回復に備えたいものですね!
新年早々、柄にも無く真面目な事を書いてしまいましたが、
願わくばこの美しいサンゴの海を長く見続けていけることを祈っています!
メデタシメデタシ。
by ひらりん
第332回 新種はまわる
HP等でもすでにお知らせしていますが
この度、串本海中公園前の錆浦から発見された新種「トゲツノミナミロウソクエビNikoides subdistalis」の記載論文が公表されました!
詳しくは→コチラ
とはいえ、
私はそのエビを見つけただけで、
実際に標本を精査して新種記載論文を執筆されたのは千葉県立中央博物館の駒井智幸動物学研究科長ですので、
実質、私はほとんど貢献できていません。。汗
いずれは自分でも生物の記載ができるよう、精進せねばと自らの無力を痛感している今日この頃です。。
昨年に続き、こんな私なんぞを共著者に入れて頂いた駒井博士には、この場をお借りして、改めて深く御礼申し上げます。
さて、
今回のトゲツノミナミロウソクエビ、はじめて発見したのは2018年でした。
サンゴの産卵観察で毎晩毎晩潜っていたある日のこと
疲労で荒んだ私の心を見透かすようにギラギラとライトを反射するサラサエビ軍団の眼が並ぶ中、いつもと少し違う眼が光ったような気がしたので近づいてみると、そこにいたのがこのエビでした。
その時はなんだか見たことないエビだなぁ~
くらいで採集してきましたが、それがまぁなんと未記載種だったとは・・・
後に飼育してみて分かったのですが、本種は昼間は砂の中に潜み夜に出歩くため、昼間にはまず出会うことはありません。
典型的な夜型です。
どうりで見たことなかったわけです。
明るい場所だとすぐに砂に潜りたがるのですが
潜る際には頭から豪快にズボッズボッと潜っていきます。
蝋燭「ロウソク」の名の通り突起の少ないツルツルとした体表面はこの行動の際に効果的なんだとか。
その後、
未記載種だとご教示頂いてからは
追加標本を採集するべく
サンゴの産卵観察の度に探してはいたのですが・・・
なんせ
真っ暗な海の中で・・・
ちょっと頑張って行かなければならない場所で・・・
たま~~~に見つかるくらいなので・・・
標本採集にはじつに苦戦しました。。
いや情けない。。。。
結局、今年の7月までかけてようやく5個体を採集し、それを基に新種として記載して頂いたわけです。
今回の新種の公表により、ロウソクエビ科ミナミロウソクエビ属は全11種、うち国内産は7種となりました。
本種はいまのところ、海中公園前から知られるのみですが、今回の論文の公表により国内における分布もまた徐々に明らかとなってくるのではないかと僭越ながら密かに期待しています!!
そんな期待をこめて、
最後に踊るトゲツノミナミロウソクエビの映像をどうぞ。
こいつ、回るぞ!
一生懸命探したかいもあっってか、最近運良く3個体を新たに採集することができましたので
現在、水族館にて絶賛生体展示中!!
この機にぜひご覧下さい!!
メデタシメデタシ。
by ひらりん
第327回 さんごガチャ
8月1日、近くの海岸にスリック(※)ができていました。※サンゴの卵が集まったもの。
この日の前日は潜っていなかったので
どのサンゴの卵なのかはわかりません
が、
なんとなく掬ってきました。
サンゴの種苗生産にはいくつか方法があり、
普通は群体の一部を採集して室内で飼育産卵させたり、野外でトラップ等を用いて卵を集めてきたりしますが、スリックの一部を育てるのも方法の一つです。
スリックを集める場合、夜潜らなくてもいいし、遅い時間まで観察したりスポイトをペッペとしなくていいので、とっても楽ちんなのですが、この方法には大きな難点があります。
それは、複数種の卵が混ざっていた場合に特定の種を育てることが非常に難しいことです。
今回採集してきたスリックにもいろんな色の卵が混ざっていました(画像は撮り忘れました。。)。
良く見慣れた卵(たぶんクシハダミドリイシ)
灰色のもの(たぶんパリカメノコキクメイシ)
黄色のもの(元館長によるとスナギンチャクやイソギンチャクのものらしい)
濃い赤色のもの(たぶんナカユビミドリイシ)
etc・・
まぁ、今回はこの種の種苗を生産したい!といった大層な目標があるわけでもないので、エイヤ!とシャーレに入れて一緒に育ててみることにしました。
何が育つかは分からない。
ガチャですね。さんごガチャ。
その後、無事プラヌラが確認できたので
せっかくだし、色々な着底基板も入れてあげました。
ちなみにプラヌラはこんな感じで、大きさは大体0.3~0.5 mmくらい。
で、
なんだかんだありましたが、
人知れず換水を繰り返していると
無事稚サンゴになったようです。大きさは0.8 mmくらい。
小さいながらに骨格を形成しているところをみると、何れかのイシサンゴのようです。
着底基板はやはり、自然のサンゴレキが人気でした。
確定演出はまだまだ先なので
種までは特定できませんが
これからも大切に育てていこうと思います。
レベルを上げて、
いつか水槽デビューできると良いですね。
つづく
by. ひらりん