海と水族館を丸ごと楽しめる複合施設串本海中公園

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串本の様子や様々な串本の生き物たちを、
スタッフが交代でご紹介します。

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第91回 新着魚紹介「クルマダイ」


 水族館に3尾の新しい仲間がやって来ました。クルマダイという赤い魚で、大きな目が可愛く、大きさは20cmくらい、3頭身の寸詰まり体型です。「砂場の生物」水槽で展示を始めましたが、この可愛い姿を見ていると水族館の新しいアイドルが誕生しそうな予感がします。



 クルマダイは大きな目から分かるように、やや深くて暗い海に生息しています。水族館へやってきた3尾は大島在住で漁業をしている寺町さんが水深50mから釣り上げたものを寄贈してくれたものです。図鑑などを読むと「水深200mくらいに多い」と書いてあることから、少し浅いところに餌を求めて来たところを釣られてしまったのかも知れません。

 ところで、可愛いクルマダイを海中で見ようと思うなら、やはり大島へ潜りに行くことになります。「内浦ビーチ」という白野港に隣接したダイビングポイントで水深25mくらいに行くと、5cmくらいの小さなクルマダイを見ることができます。砂地に落ちている空き缶などの陰にいることが多く、あまり動かないのでゆっくりと観察できます。



 水槽でも隠れるところがある方が落ち着くと思い、普段は砂だけの砂場水槽の底に石をひとつ沈めました。1匹がすぐに石に気がつき、石に近づいて離れなくなりました。しかし他の2尾は水槽の両隅に隠れたままです。今は石を増やすべきか、砂場らしさを優先すべきか、様子を見ながら迷っているところです。

 最後に可愛い写真を撮るときの注意点をひとつ。フラッシュを使うと、下の写真のように黒眼が光って少し怖い顔になってしまいます。感度の高いカメラを持っている方は、フラッシュを使わない撮影をすると、黒目の可愛い姿が撮れるので試してください。



by こて

第84回 珍魚入館


 水族館では200種1500尾ほどの魚を飼育しています。この中には飼育係が自分で採集している魚もありますが、特に大きな魚の場合、自分で集めるのは難しいので、地元の漁師さんに頼ることが多くなります。
 さて、串本町田原で定置網漁を行っている清稔丸さんの網で珍しい魚が続けて混獲されて、水族館に運ばれてきましたので紹介します。

 最初の魚はゴマフエダイです。↓


琉球列島以南に多く生息する大型のフエダイ科魚類で、今回獲れたものは全長59cmもありました。体はメタリックに輝く鈍いピンク色で、名前の由来となる黒点が各ウロコに1つずつついています。ゴマフエダイの小さな個体は近くの川の河口で普通に見ることができますが、このように大きなものが見られることは非常に珍しいことと思われます。水族館入り口近くの「岩礁の魚」水槽で元気に泳いでいます。

 もうひとつの魚はイセゴイです。↓


日本では西表島に多く見られるイセゴイ科魚類で全長52cmでした。マイナーであまり知られていない魚ですが、この仲間でカリブ海に生息する「ターポン」は全長2m、体重100kg以上になり、ゲームフィッシュで人気の高い魚です。硬骨魚類の中では最も原始的なグループのカライワシ目に属しており、海水魚としては珍しい古代魚の風格を持っています。このイセゴイは「砂場の生きもの」水槽に展示しましたが、獲れたときの状態があまり良くなかったためか、4日目の朝に死亡してしまいました。
 どちらも熱帯域に多く生息する南方系の魚種で、当地で大きな個体が捕獲されたのは初めてです。近年、串本でも海水温が高くなり、特に冬の水温があまり下がらなくなったことで、南の海からやってきた南方系の魚が冬の海で何とか生き延びて大きくなることが多くなっています。この2尾も数年間串本の海で育ってきたのでしょう。なお、残念ながらイセゴイは死んでしまいましたが、串本初記録の標本として大事に保存されることになりました。

by こて

第74回 タカノハダイ? ミギマキ? 新種誕生?


自然の海を手軽に観察できる海中展望塔は串本海中公園センターの人気施設です。展望塔ではこれまで33年間、定期的な魚類の観察記録をとり続けて、今までに約350種もの魚類を記録してきました。メジナ(関西の釣り人はグレと呼ぶ)や、青く美しいソラスズメダイが主役ですが、サンゴの周りを泳ぐ色とりどりの熱帯性魚類が観察でき、秋の今頃は50種以上の魚が見られます。

さて、私がいつものように観察していると不思議な魚が見つかりました。大きさは30㎝程で、一見タカノハダイのように見えますが、何か違うようにも見えました。タカノハダイは浅海域に生息するタカノハダイ科の魚で、海中展望塔で約90%の出現率を誇る常連種のひとつです。写真にもあるように茶色と灰色の縞模様が目立ち、尾ビレには白い水玉模様があります。


タカノハダイ

ところが、今回のものは水玉模様がほとんど見られず、近くで見ると黒と黄色の縞模様で、同じ仲間のミギマキに近く見えます。なお、ミギマキも串本の海に多く生息する魚で、黒と黄色の縞模様と唇が赤いことが特徴的です。以前は展望塔でほとんど現れなかった魚ですが、2年前から普通に見られるようになってきました。


ミギマキ

 ちょうど、この日に海中展望塔の潜水ガラス掃除当番が回ってきたので、早速水中デジカメを持参して掃除に向かいました。展望塔の中から観察して約1時間、同じ場所であの不思議なタカノハダイ?は泳いでいました。写真を撮りながら慎重に近づいて観察すると、タカノハダイとミギマキの両方の特徴を併せ持っていることがわかりました。体の縞模様はタカノハダイそっくりで、色は黒と黄色でミギマキのようです。顔の模様はミギマキのように目を通る縞が後方に向かい、唇は茶色くタカノハダイと似ています。また、尾ビレの上半分は薄い水玉模様があり、下半分はミギマキのように黒くないけど少し濃い色をしています。


!?

 以上の特徴から、この不思議な魚はタカノハダイとミギマキの雑種と考えられました。タカノハダイ科の雑種が観察されることは珍しいことですが、過去の話を聞くと約30年前に潮岬のエビ網で混獲されたものを水族館で展示したことがあるそうです。今回発見した魚は一見するとタカノハダイの特徴が濃く現れているように見えますが、タカノハダイとミギマキのうち、どちらが父親でどちらが母親なのかはわかりません。最近の展望塔にミギマキが多くなったことで、雑種が現れる環境ができたのでしょうか。毎日見ている海の中にも不思議がいっぱいあることを改めて知らされました。

by こて

第62回 小さな小さなハゼたち


 好評をいただいている特別企画「癒しの海へようこそ」でウミウシ類をいろいろと展示してきましたが、暑い夏が近づいてくると、海でのウミウシの季節が終わってしまい、展示できる種が限られてしまいました。そこで、夏に向けてウミウシ水槽を一新し、私がお奨めする小さくて可愛いハゼたちを展示しました。
 今回集めたのは、成長しても2,3cmにしかならないイソハゼの仲間です。イソハゼの仲間は主に琉球列島以南のサンゴ礁に生息し、ハゼとは思えないキレイな色をした種が多いのが特徴です。
水槽の中には、緑色のナンヨウミドリハゼ、



金色のキンホシイソハゼ、



赤色!のアオイソハゼ



をメインにして、ミドリハゼとイソハゼ、そしてイソハゼ類ではないけれどイチモジハゼという小さなハゼを展示しています。
 ところで、赤いのに「アオイソハゼ」とはナゼ?と疑問に感じた方も多い思います。アオイソハゼは胸ビレの付け根に青い点があるのが特徴で、そのために「アオ」の和名がついています。しかし、ハゼ自体が小さすぎて、生きているときには青い点はほとんど見えません(笑)。
 大きな水族館ではイルカやアシカのパフォーマンスがあったり、最近では某水族館で「マンタの兄弟が...」とか、大きな生きものが目玉となっていることが多かったりします。しかし、たまには宝石のように小さく輝くような魚をじっくりと観察するのも面白いのではないでしょうか。

by こて

第54回 「さびうらビーチ」の小さな魚たち


串本海中公園センターの前にはきれいな海が広がり、
海中観光船ステラマリスや海中展望塔で自然の魚やサンゴを見ることができます。
また、引き潮の時には、磯に出ることで違った生きものたちを見ることもできます。
この海岸は「さびうらビーチ」と名付けられていて、
多くの人に手の届くところで海の生きものに触れてもらえるところになっています。

さて、毎年春になると、潮の引いたタイドプールで多くの小魚が見られるようになります。
まだ模様のはっきりしていないカゴカキダイ、動きの素早いクロメジナ、
1年を通じて当たり前に見られるクモハゼたち、他にもいろいろな魚がけっこう普通に見られます。


カゴカキダイの子ども


大きくなるとこんな魚

そんな中、長さ2㎝くらいの黒くて細長い魚が群れをつくっていることがあります。
人が近づくと逃げていくので、生きものだと分かるのですが、
普通に見ているだけでは何という魚か分かりにくいと思います。
これはアゴハゼの子供で、孵化してからしばらくは遊泳生活をしますが、
3㎝くらいに成長すると海底で生息するようになります。
アゴハゼは最大8㎝ほどの地味なハゼ類で、日本中の潮間帯付近に生息しています。


アゴハゼの子ども


大きくなるとこんな魚

よく見ると、様々な魚が、そして魚以外にも多くの生きものが生息している「さびうらビーチ」で、
生きものをゆっくり観察するのは楽しいことです。
でも、見つけた生きものを捕まえて持って帰るのは止めてください。
ここの生きものたちを捕まえてしまうと、後で観察することができなくなってしまいます。
なるべく多くの人に串本の豊かな海に親しんでもらえるように、
「さびうらビーチ」の生きものたちを大事にしてください。

by こて
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