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稀種「ケムシヒトデ」紀伊半島から47年ぶりに再発見!
▲ 2022年10月に串本町で採集されたケムシヒトデ Chaetaster mooreiの生体画像
この度、紀伊半島から得られた2種のヒトデ類が、標本に基づいた記録としては「国内から2例目」として新産地を報告した論文が学術誌に掲載・公表されました。
【詳細はこちら!⇒https://www.kushimoto.co.jp/news/2022/10/-22.php】
そのうちの1種「ケムシヒトデ」の生体が、
なんとこのタイミングで今年10月3日に串本町で採集され、
今回、当センター水族館にて生体展示を行うことがかないました!
展示する「ケムシヒトデ」は、串本町からは初記録となる個体で、
大阪市立自然史博物館に収蔵されていた1975年採集の標本(すさみ町産)以来、
紀伊半島からは47年ぶりの再発見となります。
ケムシヒトデは、ケムシヒトデ科に属するヒトデの1種で、
小さな盤(ヒトデの中心部分)に、5本の細長い腕をもっています。
その体表は多数の鋭い小棘で覆われ、そのうちのいくつかは明瞭に長いことが特徴です。
国内ではほとんど目にすることのない、とても稀な種「ケムシヒトデ」。
その生態にはまだまだ不明な点が多く残っています。
生体展示を通じて、ケムシヒトデのことを知っていただけましたら嬉しく思います。
※生き物の状態によっては急きょ展示を中止する場合がございます。
展示生物 |
ケムシヒトデ Chaetaster moorei |
展示期間 |
串本海中公園センター水族館内 Aゾーン 2022年10月17日(月)より開始 |
プレスリリース | 2022_串本海中公園_ヒトデ類_プレスリリース資料.pdf |
▼ PHOTO



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[論文掲載]標本に基づく記録としては国内から2例目となるヒトデ2種を発見!
▲ 画像 ←左「イバラスナヒトデ」 「ケムシヒトデ」右→
この度、紀伊半島から得られた2種のヒトデ類につきまして、標本に基づいた記録としては国内から2例目として新産地を報告した論文が学術誌に掲載公表されました。
また、本年10月には串本町から新たに「ケムシヒトデ」が得られ、
今回、論文の掲載公表に合わせて「ケムシヒトデ」の生体展示を行います。
※イバラスナヒトデの展示は行っておりません。
▼ 経 緯
2019 年 12 月 30 日に展示生物の採集を行っていた当館職員の平林が水深 13.4 mの地点から見慣れ無いヒトデを採集し、ヒトデ類の分類を専門とする国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産資源研究所 主幹研究員の木暮陽一 博士が精査したところ、国内では沖縄県から 1 標本が知られるのみの「イバラスナヒトデ Luidia savignyi」であることが判明しました。また、木暮博士の調査の結果、1975 年にすさみ町で採集され、大阪市立自然史博物館に紀州産未同定種のヒトデ類として収蔵されていた標本の 1 つが国内では小笠原諸島の兄島からのみ記録されている「ケムシヒトデ Chaetaster moorei」であることが判明しました。
これら 2 種のヒトデ類はいずれも暖かい海域に生息する南方系種であり、紀伊半島から初記録であると同時に、標本に基づいた記録としては国内から 2 例目となります。また、今回紀伊半島からこれらの種が得られたことにより、両種とも分布の北限を大幅に更新する結果となりました。
本成果は 2022 年 9 月 20 日出版の Biogeography (日本生物地理学会の発行する国際学術誌) 24 号に掲載されました。
さらに、本年 10 月 3 日には串本町田並沖の水深 18mからケムシヒトデ 1 個体がイセエビ刺し網漁により混獲されました。本標本は串本町から初記録であると同時に、大阪市立自然史博物館に収蔵されていた 1975 年採集の標本(すさみ町産)以来、紀伊半島から 47年ぶりの再発見となります。
串本海中公園では、論文の公表に合わせてケムシヒトデの生体展示も行います。
▼ 2種のヒトデ類について
〇イバラスナヒトデ Luidia savignyi (Audouin, 1826)
スナヒトデ科に属する中型のヒトデの 1 種。長さの異なる 6 本の腕* 1 を持ち、和名に「イバラ」とあるとおり、反口側* 2 の体表に散在する鋭く尖った長く頑強な棘が特徴。
本種はインド洋から西太平洋までの水深 50 m 以浅から記録されており、国内では沖縄県嘉手納町沿岸の水深 10-12 m からわずかに 1 標本が得られているのみでした。
今回串本町から得られた標本は沖縄の標本と外部形態がよく一致しており、両者とも 6本の腕の長さが明らかに異なっていたことなどから、論文中では本種が腕を自切* 3 することによって無性的に個体数を増やす可能性についても示唆されました。
〇ケムシヒトデ Chaetaster moorei (Bell, 1894)
ケムシヒトデ科に属するヒトデの 1 種。盤* 4 は小さく 5 本の細くて長い腕を持つ。和名に「ケムシ」とあるとおり、体表は多数の鋭い小棘で覆われ,そのうちいくつかは明瞭に細く長いことが特徴です。
本種は南シナ海,ニューカレドニア,タスマニア海から記録されており、国内では小笠原諸島の兄島から 1 標本が得られているのみでした。今回、論文中では 1975 年 2 月にすさみ町で採集された個体に基づいて新産地報告がなされましたが、本年 10 月 3 日には串本町田並沖より、紀伊半島から 47 年ぶりの再発見となる個体が採集されました。
▼ 展 望
今回報告された 2 種のヒトデ類はいずれも国内ではほとんど目にすることのないとても稀な種といえます。イバラスナヒトデにつきましては 2019 年以降、串本から新たな個体は採集できていないため現在展示は行っていませんが、幸いにも今回、論文の公表に示し合わせたかのようにケムシヒトデの生体が採集されるというミラクルに恵まれました。
両種ともその生態にはまだまだ不明な点が多いことから、今回の展示を通して、多くの方にケムシヒトデについて知っていただくと同時に、本種の生態の解明にもつなげていきたいと考えています。
▼ 用語解説
腕* 1:ヒトデを「人の手」になぞらえた際の指にあたる部分。
反口側* 2:ヒトデの上側。ヒトデ類は体の下側に口があるため、口とは反対側の上側のことを反口側という。
自切* 3:自ら体の一部を切り離すこと。
盤* 4:ヒトデの中心部分。多くのヒトデではこの盤から腕が放射状に伸びる。
ヒトデを「人の手」になぞらえた際の手の甲にあたる部分。
▼ 論文情報
タイトル:First record of two tropical sea star species from the Kii Peninsula, southern Honshu Island, Japan
著者:Yoichi Kogure* and Isao Hirabayashi *責任著者
雑誌名:Biogeography
公表日:2022 年 9 月 20 日
▼ 問い合わせ先 [(a)= @]
〇ケムシヒトデの展示とイバラスナヒトデ発見の経緯についてのお問い合わせ
串本海中公園センター 水族館 係長
平林 勲
Tel:0735-62-4875
E-mail:hirabayashi(a)kushimoto.co.jp
〇2 種のヒトデ類に関するより詳細な情報や論文に関するお問い合わせ
国立研究開発法人 水産研究・教育機構
水産資源研究所 水産資源研究センター
海洋環境部 暖流第 3 グループ
新潟庁舎 主幹研究員
木暮 陽一
Tel:025-228-0451
E-mail:kogure_yoichi52(a)fra.go.jp
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新種発見『トゲツノミナミロウソクエビ』
▲串本海中公園前に広がる錆浦海岸から新種のエビを発見!!
見つかったのはロウソクエビ科ミナミロウソクエビ属の新種「トゲツノミナミロウソクエビ Nikoides subdistails」で、この度、千葉県立中央博物館の駒井智幸動物学研究科長によって記載された論文が動物分類学分野の国際学術誌「Zootaxa」より2021年10月20日付けで公表されました。
串本海中公園センター水族館では、
論文の公表に合わせて「トゲツノミナミロウソクエビ」の生体展示を行いました。
(2022年8月16日に展示終了)
より詳しくはプレスリリース資料をご覧ください。
新種 |
トゲツノミナミロウソクエビ Nikoides subdistalis |
生体展示 |
串本海中公園センター水族館内 Aゾーン 2021年10月29日(金)~2022年8月16日(水) |
プレスリリース | Nikoides_subdistalis_プレスリリース資料.pdf |
▼ PHOTO



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[新種のエビ] キイカギテシャコエビ(展示終了)
▲2018年の世界初採集に続く、世界で2例目となる個体!
キイカギテシャコエビ(紀伊鈎手蝦蛄蝦・Naushonia kiiensis)。
本種は2018年に串本海中公園前で採集され、千葉県立中央博物館の駒井智幸 動物学研究科長によって今年新種記載されたばかりの非常に珍しいエビで、紀伊半島で最初に発見されたことに因んで「キイガキテシャコエビ」と命名されました。
本種はこれまで新種記載に用いられた1標本しか見つかっていませんでしたが、今回、世界で2例目となる個体を採集することができ、また、2020年10月から2021年4月にかけて当水族館内にて飼育展示を行うことがかないました。
カギテシャコエビ属の一番の特徴は平たい鈎のような鉗脚(ハサミ脚)で、国内からは本種の他に3種類が記録されています。一方、カギテシャコエビの仲間の生態には謎が多く、採集されることすら殆どありません。
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串本町から新種のエビが発見されました
2018年に当館職員が海中公園前で採集したエビを千葉県立中央博物館の駒井智幸 動物学研究科長に精査していただいたところ新種であることが判明しました。
採集されたエビはカギテシャコエビ属Naushoniaの1種で、このたび「キイカギテシャコエビ Naushonia kiiensis」として新種記載された論文が学術誌「Zootaxa」より公表されました。
カギテシャコエビの仲間は平たく鎌のような形をした第一胸脚(ハサミ脚)が特徴で、その多くは沿岸の比較的浅い場所に棲息しています。一方、本属のエビ類は海底に穴を掘って隠れ棲むことから採集されることの稀な非常に珍しいエビ類といえます。
本属のエビ類はこれまで世界から15種、国内からは琉球列島から2種、本州沿岸から1種の計3種が記録されていました。キイカギテシャコエビの発見は国内からの4種目の記録であるとともに本州沿岸海域からの2種目の記録となります。
【論文情報】
Komai, T. & Hirabayashi, I. 2020. A new species of the laomediid mud shrimp genus Naushonia Kingsley, 1897 (Decapoda: Gebiidea) from Japan. Zootaxa, 4816 (1), 092-100.
詳しくはこちらをご覧下さい。