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アルゴス放流 第2弾スタート!
アーケロンプロジェクト『アルゴス放流 第2弾』スタート!
アルゴスシステム(衛星追跡)によってウミガメの移動経路をリアルタイムで観測し、
当水族館で生まれ育ったウミガメの放流後の野生での行動を調査するアルゴス放流。
2018年11月の第1弾『2才のアカウミガメ』に続き、
2019年5月、第2弾となる『成体のアカウミガメ~産卵回遊調査』を実施しました。
放流した個体は、1995年に当館で繁殖し、産卵を行うまで飼育したアカウミガメの成体で、
これまでにも当水族館のウミガメプール・人工産卵場で産卵をした経験があります。
交尾期が終わって産卵期に入るこのタイミングに放流することで、
野生でも産卵を行うかどうか、するのであればどこで産卵するのか、
さらに、産卵期以降の動向は野生個体と同様なのかを調査することが目的です。
アルゴス放流第2弾のアカウミガメ『つばき』
性別:メス(産卵経験あり)
生まれ:1995年9月ごろ(23才)水族館の人工産卵場
体重:105kg/甲長:85cm
串本町のシンボル木にちなんで「つばき」を名付けられました。
やんちゃな性格で、ウミガメプールから脱走したことも。
▼初めての海に怖じけることなく、つばきは串本の海へまっすぐ飛び出しました。
▼放流イベントでは子ガメの放流も実施し、ふばきを含めたふれあい体験も。
水族館内の特別展ではパネル展示でさらに詳しく解説中です!ぜひご来場ください。
特設ページ:《 アーケロンプロジェクト - 串本海中公園 》
参考ページ:《 NPO法人 日本ウミガメ協議会 - 人工衛星による追跡調査 》
アルゴス放流第1弾のまとめ
2018年11月25日に発信器を装着して放流した「うめ」と「みかん」
みかんが1ヵ月ほどで通信が途絶えてしまった後も順調に受信を続けていたうめですが、
2019年4月8日を最後にうめの受信も途絶え、アルゴス放流第1弾は終了となりました。
うめの放流後の経過をまとめました。
うめは放流(2018年11月25日)後すぐに南下が確認され、放流2日後には約200㎞移動し、
潮岬沖約170㎞地点の黒潮流域まで到達しました。その後も黒潮の流路に沿って1日100㎞前後で
移動し続け、放流10日後(12月5日)には約1000㎞移動し千葉県銚子沖まで到達しました。
その後も黒潮続流から北太平洋海流の流れに乗って日本から離れ、太平洋横断へと向かいました。
下の画像は、移動経路と潮流の流速を合わせたもので、色が赤くなっている部分が流速が
速い場所です。うめの移動経路は黒潮の流路と概ね一致しており、黒潮の潮流に乗る事で非常に
高速で移動している事がよく分かります。
そのため、
黒潮→黒潮続流→北太平洋海流と進むにつれて流速が弱まり、比例してうめの移動速度も
低下しています。うめの10日毎の移動距離は、放流10日後までに約1000㎞移動していましたが、
放流20日後からは400~700㎞となり、80日以降は200~300㎞と移動距離は低下してします。
また途中何度も南北に蛇行を繰り返していますが、これも迷走しているわけでは無く、
潮流と一致した移動である事は画像を見るとよく分かります。
そして、2019年4月8日(放流134日後)には、
串本から3300㎞近く離れた太平洋上東経172°付近まで到達し、
これまでの総移動距離は約6200㎞となりました。
しかし、4月8日以降信号の受信は途絶え、うめの追跡はここまでとなりました。
最終的にうめは、4か月半の追跡となりました。
当初の希望としては、発信器のバッテリー容量から半年~1年の追跡を考えていたので、やや早い終了となってしまいました。
受信が途絶えてしまった要因として考えられるのは、
①死亡(病死、被食)
②発信器の脱落・故障
でしょうか。
一番可能性が高いのはサメなどによる被食ではないかと思いますが、実際のところは確かめようもありません。
また、発信器の脱落などであればまだ元気に生きている可能性もあり、20年後くらいに日本の砂浜で
産卵しているところを見ることが出来るかもしれません。
今回の放流では、当館で繁殖したアカウミガメの子ガメを放流した場合、野生個体のように大回遊を行うか?
を探るのが一つ大きな目的でした。
結果として、みかんは一か月ほどで受信が途絶えてしまい不明でしたが、
うめは野生でもしっかりと生存し大回遊へと向かいました。
このケースが確認できたことは、当館のウミガメ繁殖と放流において大きな成果であったと言えます。
しかし、うめはまだ2件中の1件でしかありません。
このような試みはもっと多くのサンプルを集めてこそ正確なデータとなりますので、
今後も定期的に行っていければと思っています。
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